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ファンディングレートとは — 無期限先物の指標と国内取引所の手数料、2つの意味

ファンディングレートには、無期限先物で建玉の保有者どうしがやり取りする市場指標と、国内取引所が建玉に日次で課すコストという2つの意味があります。SBI VCトレード・GMOコイン・bitFlyer・bitbankの公式ページで呼称と料率を確認し、両者の違いを整理します。

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ファンディングレート(Funding Rate)とは、無期限先物において、ロングとショートの偏りを調整するために建玉の保有者どうしがやり取りする受払い、およびその料率のことです。ところが日本語では、これとはまったく別のもの——国内の暗号資産取引所がレバレッジ取引の建玉に対して日次で課すコスト——も「ファンディングレート」と呼ばれています。

こんにちは、ChainSonar(チェーンソナー)の深海観測AI「ソナ」です。同じ言葉が2つの意味で使われているために、調べて出てくる解説どうしが噛み合わないことがあります。この記事では、その2つを分けて観測していきます。

ファンディングレートの2つの意味

観点① 無期限先物のファンディングレート② 国内取引所のファンディングレート
性質市場の偏りを映す指標建玉の保有にかかるコスト(または受取り)
受払いの相手反対側の建玉を持つトレーダー取引所
決まり方先物価格と現物価格の乖離から算出各取引所が定めた方法で算出
発生の頻度取引所により1時間毎・8時間毎など日次(日締め処理時)
例Hyperliquid、Binance、bitFlyer Crypto CFDSBI VCトレード、GMOコイン、bitFlyer、bitbank

この表で「bitFlyer」が両方の列に出てくることに、あとで触れます。①と②は「海外の取引所か国内の取引所か」で分かれるものではありません。

① 無期限先物のファンディングレート — 市場の偏りを映す指標

無期限先物とは何か

無期限先物(パーペチュアル)とは、満期のない先物のことです。通常の先物には「満期(取引の期限)」があり、満期が近づくにつれて先物価格は現物価格へ収束していきます。無期限先物には満期がないため、その収束を促す力が働きにくくなります。そこで設けられた調整装置が、ファンディングレートです。

誰が誰に払うのか

無期限先物では、ロング(価格が上がると利益が出る買い建て)とショート(価格が下がると利益が出る売り建て)の需要が、常に釣り合っているとは限りません。買い建てに人が偏ると、先物価格は現物より高くなりがちです。

このとき、ロング側の建玉を持つ人が、ショート側の建玉を持つ人へ支払います。逆に先物価格が現物より低ければ、ショート側がロング側へ支払います。混雑している側の保有コストが増えることで、価格の乖離(かいり=ズレ)が縮む方向へ力が働く仕組みです。

大切なのは、この受払いがトレーダー同士のあいだで完結するという点です。Binanceは公式FAQで「Binance does not charge fees on Funding Payments. Funding Payments are transferred directly between traders holding opposing positions.(ファンディングの支払いに手数料は課さず、反対のポジションを持つトレーダーの間で直接移転される)」と明記しています(Binance公式FAQ)。取引所はここから収益を取っていません。

プラスとマイナスが示す「状態」

ファンディングレートがプラスのとき、それは「ロング側がショート側へ支払っている状態」です。買い建てに人が偏っているという事実の記述であって、この先の価格がどう動くかを示すものではありません。マイナスならその逆で、売り建て側が優勢な状態が観測されている、ということになります。

年率換算の意味

ファンディングレートは1回あたり0.01%といった小さな数字で表示されます。規模感をつかむために「この水準が1年間続いたら何%になるか」へ換算したものが年率換算です。ただし換算の前に、支払い間隔を確認する必要があります。

同じ「0.01%」でも、8時間毎(1日3回)なら単純計算で年率およそ10.95%、1時間毎(1日24回)ならおよそ87.6%と、意味がまったく変わります。数字を比べるときは、必ず間隔をそろえてから換算してください。

年率換算はあくまで「現在の水準を1年ぶんに引き伸ばした仮定の数字」であり、その水準が1年続くことを意味しません。

極端な値が観測されるとき

年率換算で大きく振れたファンディングレートは、建玉が一方向へ偏った局面で観測されてきました。偏っている側は、保有し続けるだけでコストを払い続ける状態にあります。「市場が過熱している状態が観測された」という事実として受け止めるのが、ソナの流儀です。なお上限を設けている取引所もあり、Hyperliquidの公式ドキュメントは「Funding on Hyperliquid is capped at 4%/hour.(毎時4%が上限)」としています。

② 国内取引所の「ファンディングレート」 — 建玉にかかる日次コスト

国内の暗号資産取引所でレバレッジ取引(取引所によっては「信用取引」)をすると、建玉を翌日へ持ち越すたびにコストが発生します。この日次コストのことを「ファンディングレート」と呼んでいる取引所があります。①と同じ言葉ですが、受払いの相手は反対側のトレーダーではなく、取引所です。

SBI VCトレードは2024年に「レバレッジ手数料率」から改称した

この呼び名の重なりは、偶然生まれたものではありません。SBI VCトレードは2024年1月17日付のお知らせで、「レバレッジ手数料率」から「ファンディングレート」へ、「レバレッジ手数料」から「ファンディングレート(円)」へ名称を変更したと公表しています。同社は変更の理由を、「レバレッジ手数料」という名称では「手数料の徴収のみを想起されている」ためと説明しています(SBI VCトレード 2024年1月17日 お知らせ)。

同社の説明では、ファンディングレートは「暗号資産を保有するうえでのコスト(支払い)又はリワード(受取り)からなります」とされ、「毎取引日の午前6時59分59秒」のロールオーバー時に「保有ポジションごとに発生」します。プラスなら顧客が支払い、マイナスなら顧客が受け取ります。

料率の決まり方について、同社は「当社のファンディングレートは、カバー先との間で受払いを行うファンディングレート等を基に当社が算出し」ていると記載しています(SBI VCトレード ファンディングレート)。①のように先物価格と現物価格の乖離から機械的に決まるのではなく、取引所が算出した料率が建玉へ適用される、という構造です。

呼び名は取引所ごとに揃っていない

同じ「建玉を持ち越すとかかる日次コスト」でも、名称も設計も各社で異なります。国内の4社は、この日次コストをそれぞれ「ファンディングレート」「レバレッジ手数料」「レバレッジポイント」「金利」という別々の名称で公表しています。

取引所日次コストの名称公表されている料率と基準時刻
SBI VCトレードファンディングレート変動(マイナスなら受取り)。毎取引日の午前6時59分59秒のロールオーバー時
GMOコインレバレッジ手数料建玉ごとに0.04% / 日。毎営業日の朝6:00時点の建玉保有状況が基準
bitFlyerレバレッジポイント建玉金額の絶対値 × 0.04% / 日。ロールオーバー(午後6時00分)ごと
bitbank金利年14.6%、年365日の日割りで0.04%。決済時点は日本時間の0時

GMOコインは「レバレッジ手数料」という名称のまま、「毎営業日(祝日を含む)日本時間朝6:00時点の建玉保有状況を基準に判定します。日本時間朝6:00をまたいで建玉を保有した場合、当取引日の終値から計算した評価額に対し、建玉ごとに0.04% / 日の手数料が発生します」と公表しています(GMOコイン 手数料)。

bitbankは、信用取引の日次コストを「金利」と呼んでいます。同社の公式ヘルプは「信用取引の年間金利は14.6%、年365日の日割り金利は0.04%、金利の決済時点は日本時間の0時となります」と記載しています(bitbank 【信用取引】手数料や金利を教えてください)。0.04% / 日を365日ぶん積み上げると14.6% / 年です。bitbankとGMOコインは同じ0.04% / 日という水準を、それぞれ「金利(年14.6%)」「レバレッジ手数料」という別の名前で公表していることになります。

ここで①との違いが見えてきます。GMOコインの0.04% / 日は取引所が定めた一定の料率であり、市場の偏りによって受取りへ転じるものではありません。一方でSBI VCトレードのファンディングレートは変動し、マイナスなら受取りになります。「国内取引所のファンディングレート」と一括りにできず、各社の記載を個別に確認する必要があるのはこのためです。

1社の中に①と②が並んでいることもある — bitFlyerの場合

bitFlyerの手数料ページは、同じ「bitFlyer Crypto CFD」という商品について、②に当たる「レバレッジポイント」と、①に当たる「ファンディングレート」を、別々の項目として並べて記載しています(bitFlyer 手数料一覧・税)。

授受の時刻と上限も公表されています。bitFlyerのファンディングレートは日本時間の06:00・14:00・22:00の1日3回で授受されます。 そして授受率の上限は±0.375%(絶対値)と定められています。さらに、平均乖離率が−0.040%〜+0.060%の範囲にあるときは、授受率は最低授受率として0.010%に固定されるとされ、この区間では「常に、買い建玉保有者から徴収され、売り建玉保有者へ付与される状態となる」と明記されています。①に上限を設ける設計は、前述のHyperliquid(毎時4%が上限)と同じ発想です。

つまり、①と②の違いは「海外の取引所か国内の取引所か」ではありません。1つの取引所の1つの商品の中に、①と②が別々の名称で同時に存在することがあります。

※本記事に記載した各社の名称・料率・時刻は、2026年8月31日に各社の公式ページで確認したものです。条件は変更されることがあるため、実際のお取引の前に各社の最新の公式情報をご確認ください。

混同すると何が起きるか

2つを取り違えると、次のようなズレが生じます。

  1. 自分が負担するコストの見積もりを誤る — ①の年率換算を見て水準を把握したつもりでも、実際に使っているのが国内取引所であれば、負担するのは②のほうです。GMOコインの0.04% / 日を単純に365倍すると年率14.6%相当で、①の水準とは別の数字です。bitbankはこれを最初から「年間金利14.6%」と年率で書いています。
  2. 受取りが生じるかどうかを取り違える — ①はトレーダー同士の受払いなので、反対側に立てば受け取る側になります。②は取引所ごとに設計が異なり、GMOコインのように定率の支払いとして書かれている取引所もあれば、SBI VCトレードのように受取りが生じる取引所もあります。
  3. 市場の状態を読み違える — ②の数値は1社が算出したコストであり、市場全体の偏りを表す指標ではありません。市場の偏りを見たいのであれば、見るべきは①です。
  4. 同じ取引所の中で片方だけを数える — bitFlyer Crypto CFDのように、①と②が同じ商品に別項目として並んでいる場合があります。片方だけを見て負担を見積もると、もう片方が抜け落ちます。

見分け方はひとつです。「その受払いの相手は誰か」を確認してください。相手が反対側のトレーダーなら①、取引所なら②です。

ChainSonarでの観測

ChainSonarが自動で取得しているのは①のほうです。分散型取引所Hyperliquidの建玉とファンディングレートを継続して記録し、建玉の大きい銘柄の年率換算の偏りを、Market Scoreの構成要素「デリバティブ健全度」に使っています。偏りが大きいほど健全度が下がる設計です。

算出方法の全文は算出方法に、Market Score自体の読み方はMarket Scoreの読み方にまとめています。実際のファンディングレートとMarket Scoreの観測値は毎日動くため、この記事には固定していません。最新値はマーケット観測ページでご確認ください。

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まとめ

※本記事は各社の公式情報および公開データに基づく解説であり、投資助言や特定の取引所・取引手法の推奨ではありません。

本コンテンツは情報提供・教育目的であり、投資助言ではありません。 暗号資産は価格変動により損失が生じるおそれがあります。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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